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神栖市で活躍する医師

Interview

神栖市初の修学生医師として
地域に根差した医療を提供したい

神栖済生会病院 内科 医員

巴 悠記 (ともえ ゆうき)様

所属学会
日本プライマリ・ケア連合学会
日本内科学会

地域で奮闘する医師の姿を見て
医学の道に進むことを決意

私は医師になって6年目です。筑波大学附属病院総合診療科に所属しており、総合診療、家庭医療の専門医取得を目指して研鑽を積んでいます。2024年7月に神栖済生会病院の小児科に赴任し、1カ月の育児休業を経て、現在は内科の医員として総合診療に携わっています。医師になる前は、製薬会社のMR(医薬情報担当者)・営業の仕事をしていました。もともとは物づくりに興味があり、医療機器の研究開発に携わりたいと、大学は工学部に進学しました。卒業研究では医科大学と共同研究している研究室に所属し、大学院でも医工連携を推進する研究室に所属して、病院実習や基礎医学の講義を受けたりと、学生時代から医療との接点がありました。
社会人になって配属された初任地が茨城県水戸市の営業所で、担当したのは山間部や海辺など医師不足が深刻なエリアでした。そうした医療が届きにくい場所にある診療所で、地域医療に奮闘する医師の姿を目の当たりにしたことが、「自分も医師になろう」と思ったきっかけの一つとなりました。ある先生の「眼科と産科以外だったら何でも診る」と仰って、その言葉通り地域の医療を守っていた姿が今でも印象に残っています。自分にとって一生の仕事は何だろうと改めて考えたときに、医師になりたいという思いが徐々に強くなっていきました。

社会人から医学部へ
神栖市の修学制度、第1号

実は私は、神栖市が実施している修学資金貸与制度を利用した第1号です。両親には大学院まで進学させてもらって社会人になったので、医学部に入学後の学費は「両親の世話にはならずに自分で工面する」と受験の時から決意していました。入学後、大学の学費免除の制度も利用しましたが、社会人時代の貯金やアルバイトだけでは余裕のある生活が難しいと感じ、自分が利用できる修学制度がないかを探していました。自分の地元などではなかなか条件に合うものが見つからない中、たまたま妻の地元の茨城県で調べたところ、神栖市の修学資金貸与制度を見つけることができました。丁度、県外出身者でも応募できるように制度改正された後だったようで、県外出身者でもしっかりとしたサポートが受けられることが魅力的でした。
修学制度を利用してみて感じたのは、神栖市の「ウェルカム!」な雰囲気です。県外から申し込んだ私に対して、とても温かく迎えてくれました。例えば、神栖市がどんなところなのか、市を紹介するパンフレットやDVD、特産品を送って下さったり、面談で何回か訪問した際には病院だけでなく市内のあちこちを案内してくれたりと、とても手厚いサポートがありました。応募するにあたって、そして修学生となった後も、全く不安はありませんでした。

在宅医療の専門医取得を目指して
訪問診療の経験を積む

総合診療・家庭医療を専門に選んだのは、やはり前職でお会いした医師、そして学生時代に実習などでご指導いただいた医師の影響が大きいです。営業活動を通して見てきた茨城県の地域医療の現状は、厳しいものでした。だからこそ、自分が医師として働くならば、そうした医師が少ない地域で地域医療に貢献したい。より必要とされている場所で働きたいという気持ちがありました。その思いは、医師を目指したときから実際に医師となった現在もずっと変わっていません。
神栖済生会病院で働き始めてからは、総合診療医に必要な領域の一つとして、小児科で3カ月の研修を受けました。茨城県内には総合診療の研修プログラムで小児科研修を受けられる施設が少なく、当院は県内に数カ所しかない施設の一つです。しかも、当院では内科・総合診療科と小児科の両方を学ぶことができます。加えて総合診療科で訪問診療を経験できることも貴重だと思います。私は将来的に在宅医療の専門医資格を取得したいと考えているのですが、当院はその認定施設にもなっています。まさに私にとってはぴったりの環境でした。
そして、風通しの良い職場環境も当院の特徴の一つだと思います。月1回は、他の診療科の先生たちと交流・意見交換ができる医局会が開かれていて、病院の課題や今後どんなことを改善していけば良いのか、定期的に話し合われています。診療の上でも、診療科の垣根がなくどの先生にも気軽に相談することができます。また、私の場合は赴任してすぐに育児休業を取得しましたが、そうした制度を利用しやすい雰囲気があることもとてもありがたかったですね。

修学生が発信することで
さまざまなキャリアのロールモデルに

神栖市は、2023年度に厚生労働省主催「第五回上手な医療のかかり方アワード」厚生労働省医政局長賞を県内自治体で初めて受賞したことからも、非常に医療への関心が高い地域だと言えます。さらに「神栖市若手医師きらっせプロジェクト」で、積極的に医師を呼び込む取り組みに力を入れていることも特徴です。本年度は全国の医学生・医療関係者・自治体関係者などが集う地域医療シンポジウムが開催され、市全体で医療について考える活動がさらに活発化していると感じています。すでに私たち修学生と神栖市の医療関係者・職員の方たちが交流する場はありますが、今後はさらに修学生同士の交流の場ができると、より密度の高い情報交換ができるのではないかと思います。私たちが積極的に情報発信することで、同じように修学資金貸与制度を利用し、県外から神栖市に来て医師になりたいという人が増えてくれたらと考えています。私のように他の職業を経て医師になるなど、さまざまなキャリアの人達がロールモデルとなっていけば、さらに間口が広がるのではないでしょうか。
また、神栖市では市内の小学校・中学校で「医療教育」が行われていますが、そのような形で医師やコメディカルスタッフが学校に出向き、対話をする場を作ることも大切だと思います。早い時期から医療に興味を持ってもらうことで、将来、医療職を目指したいと思う子どもが増えるきっかけになると嬉しいです。

やりがいを感じる瞬間
地域に根差した医療を提供していく

当院で診療をしていて、やりがいを感じられる瞬間はたくさんあります。外来で診た患者さんが、安心して帰ってくれて、また次の外来に来てくれる。そうしたつながりを感じられるのも喜びですし、緊急入院した患者さんから「先生に診てもらってよかったです」と言ってもらえるのも嬉しい。「病院に入院せずに最期まで自宅で過ごしたい」とおっしゃっていた患者さんのために、訪問診療でいかにその方らしく、なるべく今までの生活を変えずに自宅で過ごしてもらうにはどうすればよいかを考え、ご家族と一緒にサポートをしていくこともやりがいを感じることの一つです。
私はまだ神栖市で働き始めたばかりですが、ここは子育て中の若い世代も多く、とても活気のある街だと感じています。子育て世代としては、神栖中央公園や神之池緑地など、子供が思いっきり遊べるスポットが身近にあることは特に魅力的だと思います。
一方で、医師、看護師、薬剤師、検査技師、リハビリスタッフなど医療職全般が少ない地域という側面があり、医療に対する市民の関心や期待が高いことも感じています。医療資源が少ない地域だからこそ、試行錯誤しながら地域に根差した医療を提供していくやりがいも大きいです。神栖市は「神栖市若手医師きらっせプロジェクト」の取り組みを通じて、積極的に意見を発言できる場も多く、地域医療に貢献したい、という医師にとっては特にやりがいのある環境だと思います。同じ志を持った医師・医療関係者の方に神栖市に来ていただき、一緒に神栖市の医療を盛り上げていきたいですね。

取材日:2024年10月30日
神栖済生会病院の詳細はこちら

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