母が歯科医師、父が薬剤師だった影響で、小さい頃から医療系の仕事に就きたいという気持ちがありました。はじめは歯科医師を目指して勉強をしていたのですが、高校1年生のときに、祖母が脳出血で右半身麻痺になったことをきっかけに「口の中だけではなく全身を診るための勉強をしてみたい」と思い、医学部受験を決意。大学は東京医科大学へ進学し、東京医科大学茨城医療センターで初期研修を受けました。
皮膚科を専門に選んだのは、初期研修のローテーションで回ったときにすごく楽しかったことと、私自身、高校時代にニキビに悩んだ経験があったので、患者さんの気持ちが分かると思ったからです。他の診療科に比べて、見た目でどんな疾患なのかを判断できるところが皮膚科の面白さ。そこに魅力を感じて皮膚科の道に進み、東京医科大学茨城医療センターの皮膚科に入局しました。
白十字総合病院で働き始めたのは、2025年の4月からです。大学の医局に毎年オファーをいただいていたこともあり、それだけ皮膚科のニーズがある病院ならば「ぜひ働きたい」と思ったことがきっかけでした。現在は東京医科大学茨城医療センターからの派遣という形で勤務しております。
神栖市に引っ越してきたことで実家が近くなったことも、私にとっては良かったです。思い立ったときに両親の様子を見に行けますし、休みの日は妹や甥っ子たちと遊びに出かけてリフレッシュしています。車で移動できる範囲に子どもたちが遊べるショッピングモールや施設があるので、子育て世代にとっては暮らしやすい環境だと思います。神栖市は子育て世帯へのサポートが充実している地域なので、普段、街を歩いていても家族連れの方たちの姿をよく見かけます。若い世代の方たちが多くて活気があるんです。
現在は週5日の勤務で、火曜日を手術日にしています。今まで外来中に手術も行っていたのですが、粉瘤など、麻酔をかけて皮膚のできものを切除するような手術は30分ほどかかることもあり、まとめて手術する日を設定することにしました。手術日には1日に4、5件対応しています。私は手術が好きなので、ここでもしっかり技術を磨くことができるのがうれしいです。
赴任したばかりの頃は、皆さん当院で皮膚科の治療ができると知らず、患者さんはそれほど多くいませんでした。しかし、今では外来日には平均して50人ほど患者さんがいらっしゃいます。多い時には90人近く診ることも。治療を受けた患者さんたちから、口コミで広がっているようです。
同じ茨城県内でも、以前働いていた東京医科大学茨城医療センターでは高齢の患者さんが多かったのですが、神栖市では若い患者さんもたくさんいらっしゃいます。アトピー性皮膚炎や湿疹、ニキビなど、一般的な皮膚科疾患が多く、すぐに診断がついて治療できるケースがほとんどとはいえ、なかには入院が必要な方もいますので、診療では慎重に見極めるようにしています。

白十字総合病院は地域に根差した病院なので、できることはやりたいと思っています。そのためにも特定の疾患に限らず、皮膚科全般の疾患を広く診ていくことを心がけています。正直、最初は一人で皮膚科を診なければならないことに不安もありました。しかし、自分一人で対応できないような難しい疾患や、より専門的な治療が必要な疾患については、東京医科大学茨城医療センターのバックアップがあるので、今は安心して治療をしています。
また、院内では何より医局が一つなので、普段から他科の先生方と気軽に挨拶ができることが、当院の良さだと思います。例えば、皮膚科を受診した患者さんの中には内科疾患を併発している方もいますが、診察をしていて「もしかしたら内科の症状かもしれない」と思えば、看護師さんに伝えるだけですぐに内科を受診できるように手配してくれます。大きな病院であれば手続きが必要なケースでも、お互いにコミュニケーションをとりながら、患者さんに負担をかけずに受診していただくことができる。逆に内科や眼科から、皮膚科に患者さんが紹介されてくることもあります。

神栖市は、医師不足への対策にとても熱心に取り組んでいるのが特徴です。私自身、神栖市で勤務するにあたって「医師Uターン推進事業」の支援を受けています。これは地元出身医師のUターン勤務を応援するための事業で、勤務年数に応じて計500万円の補助金がもらえる制度です。神栖市だけでなく、鹿嶋市や潮来市などの茨城県内や、銚子市、香取市などの千葉県内の一部地域に3年以上居住していた人であれば、神栖市で常勤医として働く際に受けることができます。Uターン勤務でこうした制度を利用できることは、とてもありがたかったです。
また、最近では神栖市若手医師きらっせプロジェクトで実施している「熱傷・薬傷症例検討会」に参加しています。これは産業都市特有の疾患である「熱傷・薬傷」の受け入れ体制を強化することを目的に、毎年開催されている勉強会で、前回は筑波大学医学医療系 救急・集中治療医学教授の井上貴昭先生を講師に、現地とオンライン合わせて100名以上の方が講義を聞かれていました。専門的な話を伺うことができて、私もとても勉強になりました。
さらに次回、2026年1月に開催予定の「熱傷・薬傷症例検討会」では、私が講師を担当することになっています。頻度は少ないものの、当院でも熱傷・薬傷の患者さんを診ることがあるので、実際の写真などもお見せしながら、地域のクリニックの先生方や工業地帯の企業の方たちのお役に立てるようにお話ししたいと考えています。

白十字総合病院にはこれまで皮膚科の常勤医がいなかったので、私が赴任したことを皆さんに喜んでもらえたことも嬉しかったです。診療をスタートしたばかりの頃、わざわざ市役所に「皮膚科の先生が来てくれて本当によかったです」と電話をしてくださった患者さんもいらっしゃったと聞きました。今も直接「診てもらえてよかった」と言ってくださる患者さんがいらっしゃり、そうした言葉で日々やりがいを感じています。皮膚科の専門医として、今後も皮膚疾患全般に対応しながら、どの領域でも偏りなく診られる医師になりたいです。
自分の専門分野だけに限らず、患者さんの全身に目を向けながら診療をすることができるのが、白十字総合病院での勤務の魅力。ぜひここでの研修でそうした魅力を感じてほしいと思います。私が研修医や学生さんたちに教えるときは、自分も初心にかえり、当時を思い出しながら接するようにしています。今、当たり前にできていることでも、最初はできていなかったことばかりです。それを忘れずに、相手の立場に立って物事を見るように心がけています。神栖市での医療に興味がある方は、ぜひ見学にいらしてください!
