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神栖市で活躍する医師

Interview

この地に根差した診療で、20年、30年後の地域医療を変えていく

鹿嶋ハートクリニック 副院長
ハートリズムセンター センター長

佐藤 寿俊(さとう かずとし)様

資格・認定
日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会内科認定医
日本循環器学会専門医
日本不整脈心電学会認定不整脈専門医
日本不整脈心電学会 ICD/CRT研修認定
日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医
日本救急医学会・ICLS インストラクタ
日本内科学会JMECC インストラクタ
大阪ライフサポート協会 PUSH認定インストラクタ

専門分野で地域を支える
循環器医療に特化したクリニック

私の出身は、神栖市として合併する前の波崎町。医師になってからは千葉県にある国保旭中央病院で19年ほど勤務後、地元に戻って鹿嶋ハートクリニックでの診療に携わるようになりました。当院が開設してからまだ10年ですが、クリニックという形態でありながら検査件数も治療件数も豊富です。私の専門でもある不整脈治療では、カテーテルアブレーションを実施しているほか、循環器センターでの経皮的冠動脈形成術(PCI)や経皮的動脈形成術(PTA)、心臓血管外科センターでの人工弁置換術など、専門的な循環器治療を提供できる体制が整っています。
住民の皆さんが、この地域にいながら標準的な循環器治療を受けられるように、私たちの技術を活かしていきたいと考えています。そのために重要なのが、各専門分野の医師がそろっていることはもちろん、それを支えるコメディカルスタッフの力です。スタッフの多くは神栖市や周辺地域から集まっていて、「この地域の医療を良くしたい」という思いがあります。そうした思いを持っているスタッフたちと協力しながら、新しい体制を作っていく。そこに医師としてのやりがいを感じます。当院に勤務する医師たちの中にも、ここでの診療に携わるうちに、この地域の医療に魅力を感じて移住を決めた先生もいらっしゃいます。

「将来の神栖市の医療のために」
地域に向き合い見えてきたもの

私が地元である神栖市に戻ってきたのは、父が救急搬送された時の経験がきっかけでした。当時、国保旭中央病院に勤めていた私のもとに「胸が痛い」と、父から電話がかかってきたのが早朝のこと。搬送されたらすぐに治療ができるようにと、救急外来でスタンバイをして待っていたのですが、父を乗せた救急車が来るまでに1時間40分かかりました。なぜそんなに時間がかかったのか。後から話を聞くと、医療圏ごとに搬送先の病院が決められているため、まずは管轄内の病院で搬送先を探したところ、受け入れ可能な病院がなかったのが原因でした。「息子が千葉県で循環器の医師をしている」と伝えて、ようやく圏域を超えての搬送が決まったそうです。
父は幸い心臓疾患ではなかったのですが、もし心筋梗塞だったとしたら、初診まで1時間以上かかっていたことになります。それでは治療までたどり着かずに、命を落としていたかもしれません。この時、地元の医療の脆弱さを肌で感じたことで、神栖市に戻り循環器診療に携わりたいと思うようになったのです。まずは自分の得意分野の循環器疾患を中心に、少しずつこの地域に貢献できればと考えています。
20年、30年後も、私はこの場所に住み続けていると思います。それはつまり、今、自分がこの地域の医療のために力を尽くすことが、そのまま将来の自分が受ける医療につながるということ。だからこそ、常に新しいものを取り入れて、どんどん発展させていきたい。それは、しっかりと腰を据えて地域の医療と向き合うからこそ、見えてくる考え方なのではないでしょうか。

地域全体で医師を育てる
神栖市若手医師きらっせプロジェクト

当院では、神栖市若手医師きらっせプロジェクトと連携して、ジェネラルに学ばれている専攻医の皆さんをサポートする役割を担っていきたいと考えています。その一つとして、研修医の先生が循環器疾患の患者さんを診察し、当院のような専門の医療機関に紹介した場合、その後どのような治療がされたのか、自分の判断が正しかったのかどうか、実際に私たちの診療を見ていただくことで「振り返り」の機会を作ります。
私は日本プライマリ・ケア学会の認定指導医と総合内科専門医、不整脈専門医の資格を取得しているので、循環器疾患に対するスペシャリストの視点と、プライマリ・ケア医としてのジェネラリストの視点の両方を持ち合わせています。そのため、若い先生方に指導するにあたっては、ジェネラルな診療に加えて、さらに一歩踏み込んだ専門的な循環器治療についても習得してもらえる環境です。当院は心臓血管外科と不整脈の研修施設にもなっていますので、プライマリ・ケアにプラスして専門性を身に付けたいという先生にも、ぜひ利用していただければと思います。
また、プライマリ・ケアを専門に学んだ研修医の先生が、神栖市若手医師きらっせプロジェクトの一環として、研修後に当院に来てプライマリ・ケアを実践しながら、私たちが循環器分野をフォローしていくことも可能です。在宅医療で中心静脈栄養をする場合など、不安を感じる先生もいらっしゃると思いますが、そうした細かいサポートもできます。今後、私たちは神栖市若手医師きらっせプロジェクトを通して、この地域で活躍できる医師たちの育成に尽力していきたいと考えています。

地域のニーズに応えながら
患者の人生に寄り添う医療を

神栖市のような地域医療の現場では、都会に比べて医師の仕事量が少ないかというと、決してそうではありません。むしろ同じ時間でたくさんの患者さんを助けてあげたいと思うと、当然仕事はハードになります。しかし、その中でも患者さんの生活や、人生の一部に寄り添うような診療はできます。当院でも手術治療だけの“点”で患者さんに関わるのではなく、他の疾患についてもカバーしながら、ここで治療が完結するようにしています。地域を支えるクリニックとして求められているのは、そうした患者さんの人生に寄り添うような医療です。
私たちは自分の力で地域を変えていくことができます。なぜなら、皆が持てる力を最大限に発揮して、助け合う文化がここにはあるからです。新しいものを作る、新しい企画に関わるなど、能動的な活動がその“変える力”になります。神栖市若手医師きらっせプロジェクトも、そうした新しい取り組みの一つ。そのことを知って研修に来てもらえれば、きっと楽しい研修になりますし、医師としても大きく成長できると思います。

取材日:2020年8月6日
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