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神栖市で活躍する医師

Interview

目指すのは、大学病院と同じ水準の医療を提供できる病院。

神栖済生会病院院長、日本医科大学消化器外科准教授

中村 慶春(なかむら よしはる)様

資格・認定
日本消化器外科学会;指導医・評議員
所属学会
日本内視鏡外科学会;(腹腔鏡下手術)技術認定医および技術認定審査官・ガイドライン策定委員
日本肝胆膵外科学会;高度技能指導医
日本消化器内視鏡学会;指導医
日本外科学会;指導医
監修・著書
「最新の消化器内視鏡外科手術 消化器外科」へるす出版
「内視鏡外科消化器再建術のすべて」株式会社 学研メディカル秀潤社
「Clinical outcome of laparoscopic distal pancreatectomy」

Pancreas. Springer 他、多数

市民の医療ニーズに答える
「神栖市立の神栖済生会病院」として

本院は2019年4月に鹿島労災病院と統合し、地域の急性期医療を担う中核病院として新たなスタートを切りました。救急医療はもちろん、各専門医療やがん診療なども含めた総合的な急性期医療を提供しています。済生会は「常に患者さんに寄り添うこと」を基本姿勢としていますが、ここは神栖市の基幹病院ですから神栖市民の皆さんに寄り添う病院を目指しています。市民病院としての性格が強く、地域の医療ニーズに応える「神栖市立済生会病院」という意識で病院運営にあたっています。
神栖市は医療の拡充に向けてたいへん力を入れて取り組んでいる自治体です。現在の日本の医療環境では病院が単独で充実した医療サービスを提供することは難しく、必ず自治体のバックアップが必要ですから、神栖市とは緊密に連携をとっています。
当院には多くの専門医の先生がいらっしゃいますが、その先生方が専門的な知識と医療をいかんなく発揮できるような設備・環境づくりを市とともに話し合い、そして実践していくことが、大きな発展性を備えた地域中核病院となるための必要条件であると考えています。

大学病院での経験と技術を
この茨城の地で提供する

私は、以前は当院の前身にあたる済生会波崎済生病院で2年間外科部長として勤務し、その後、2003年に日本医科大学付属病院・消化器外科に戻り、傷を小さく出血が少なく、手術後に早く元気になれる高度先進医療である腹腔鏡下手術を行ってきました。そして、大学に勤務している際にも、当時手術をした患者さんのフォローアップのために、月2回土曜日に当院で消化器外科外来診療を16年間にわたり行ってきました。ですから、この地にもともと縁があったのだと思っております。また、患者さんを含めてずっと付き合いを続ける中で、この地にはとてもよい方が多いなという実感を抱いていました。
そして、2019年10月に再び当院に出向し、2020年1月より院長となりました。そのときに考えたのは、『大学病院と同じ水準の医療サービスを提供できる病院をつくりあげる』ということです。私にできることは、大学病院で培ってきた知識と経験、技術を生かしてさらなる外科のレベルアップを目指すこと。当院では、すでに医療環境は整っており、腹腔鏡のモニターなどは大学よりもいいものが入っていて、大学病院と同じレベルの手術を行うことができます。内科・小児科など他科の先生方も立派なお考えや技量をもった方がたくさんおられます。共に患者さんによりそい、協調し合うことで病院全体の医療水準を高めていければと考えています。

私の役割のひとつは
若くて優秀な医師を育てること

私がここに赴任したもうひとつの理由は、大学病院において順調に後輩が育ったことが挙げられます。私は腹腔鏡手術治療の技術認定医の審査官でもありますが、この技術認定の資格を既に6名が取得しています。今でも週1回は大学へ手術指導に行きますが、私がいなくても日本医科大学ではこの領域の手術が行えるよう後輩が育ってくれました。今後はこの神栖済生会病院における人材の育成に注力したいと考えています。
当院に入職すれば私と一緒に手術することができます。手術室に一緒に入って私の手術を間近で見ることもできるし、やる気のある人であれば執刀もできます。こうした実践的な経験を通して若い医師を育て、外科手術の技術を高めていきます。実際、すでに日本医科大学の後輩たちが当院に来たいと言ってくれています。今後も医師だけでなくて看護師も含め、近隣の筑波大学・東京医科大学をはじめとして大学病院との連携を教育を通してもっと強くしていきたいと考えています。

大切なのは
外科医としての総合力

当院に来て外科医の知識やスキル、ノウハウを学びたいという方には、間違いなく最高のものを提供できると思います。ただし、我々は外科医ですが、もっとも重要なのは患者さんを治すということです。ですから、外科医でありながら手術だけではなくて化学療法も行いますし、手術する前の内視鏡の検査や治療も手がけます。また、当然のことながらフォローアップのための外来も担当します。外科医だからといって手術だけを行うのではありません。手術を見て、そのやり方を身につけることだけを目的に入職される方はご遠慮いただきたいと考えています。我々は治療の中心に手術を置いていますが、総合的な視点から患者さんを治すのが外科医の仕事です。当院の門戸をたたかれる方は、外科医としての総合力を養うという認識や気構えを持って来てほしいと願っています。

取材日:2020年2月4日
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