アクセス
お問合せ

神栖市で活躍する医師

Interview

医師として地元に貢献したい。Uターン制度を利用して神栖市へ

神栖済生会病院 内科

後藤 淳一(ごとう じゅんいち)様

資格・認定
日本内科学会 認定内科医
日本医師会 スポーツ認定医
心不全緩和ケアトレーニングコース修了
認知症サポート医
所属学会
日本内科学会
日本循環器学会
日本心臓リハビリテーション学会
日本緩和医療学会

地元の医療を支えるために
地域で求められる診療スキルを習得

私は神栖市の出身で、高校生までここで暮らしていました。高校卒業後はアメリカの大学に6年間留学し、遺伝子や生物学の分野を勉強。日本に帰ってきてから、一度は医療系の企業でサラリーマンとして働いていたのですが、子どもの頃から憧れていた医師になろうと一念発起して医学部を受験しました。無事に鹿児島大学医学部に合格したときは、本当に嬉しかったのを覚えています。
医師を目指そうと思ったときから頭に浮かんでいたのは、神栖市の厳しい医療状況でした。茨城県の中でも特に鹿行地域は医師が少ないエリアです。それを知っていたので、いずれは地元に戻って医療を提供したいという気持ちがありました。私がちょうど初期研修医の頃、鹿島労災病院と神栖済生会病院の再編統合をテーマとした市主催の住民説明会に参加したのですが、そこで「どうしてこの地域に医師が来てくれないのか」と尋ねる住民の方たちの姿を見たことで、より地元への思いは強くなったと思います。
この地域で必要とされる医療は何だろうか……、そう考えたときに、もっと幅広い診療能力を身に付けたいと思うようになりました。初期研修を終えてからは、水戸済生会総合病院で循環器内科を専門に診療をしていたのですが、さらに幅広い症例を経験するために、総合診療家庭医療プログラムを実践していた福岡県の飯塚病院へ行くことを決めました。また、鹿行地域でも今後間違いなく増えると予想されるのが心不全患者です。そのためにもがん患者のみならず様々な疾患の終末期医療に対応できるように、緩和ケアや訪問診療についても学びました。

県内で働く医師たちを応援する
神栖市若手医師きらっせプロジェクト

総合診療や在宅医療の経験を積み、いよいよ神栖市に戻ろうと決めたときに知ったのが、神栖市若手医師きらっせプロジェクトでした。きらっせプロジェクトの「医師Uターン推進事業」では、地元出身の医師がUターン勤務するのを支援するため、勤務年数に応じて補助金が交付されます。いずれは地元でと考えている医師にとっては、背中を押してくれるような制度です。その他にも、「診療所開業資金貸与制度」や「指導医等赴任手当支給事業」など、県外で経験を積んだ医師たちが神栖市で力を発揮できるように、応援してくれるさまざまな制度があります。数年前には「どうしてこの地域に医師が来てくれないのか」と、住民から声が挙がっていましたが、現在ではこうした医師を呼び込むためのプロジェクトがいくつも進められています。
この地域の医療をさらに良くしていくために、行政の方たちとの連携は欠かせません。自分にできることがあれば、積極的に協力していきたいと考えています。ゆくゆくは私のように神栖市出身の医師が増えていってほしい。そう考えると、子どもたちの教育も重要です。そのきっかけとして、病院での職業紹介や神栖市の医療の現状を伝えるような活動にも取り組んでいきたいと思っています。それが、将来の神栖市の医療の充実にもつながるのではないでしょうか。

地域性を知っていることが
診療する上でのアドバンテージに

私が神栖済生会病院に勤務して半年になりますが、実際に働き始めて痛感したのが、人口に対する医師の少なさでした。思っていた以上に自分が必要とされているのを実感する日々です。患者さんはもちろん、一緒に働くスタッフからも自分の力を必要としてもらえる。それは嬉しいことでもあります。この地に根差して、力を尽くしていきたいという思いはさらに強くなりました。
私が担当する内科では、老若男女のあらゆる症例に対応する必要があります。そのため「自分の専門分野でなければ診ない」という医師ではやっていけません。大事なのは「何でも診る」という気持ちです。特定の症例だけではなく、幅広く診療に携わりたいという先生にぜひお勧めしたいです。特に当院では総合診療科が訪問診療も行っていますので、いろいろな経験を積みながら成長できると思います。
患者さんと地元ならではのコミュニケーションがとれるのも、Uターンをして良かったことの一つ。地名を聞いただけで場所や地域性が分かることは、医療を提供する上でのアドバンテージになっています。なにより患者さんとの会話が弾むので、自分が地元に戻ってきて、地域に密着した医療を提供しているのだと感じられます。知り合いがたくさんいるという意味ではプレッシャーもありますが、それが励みになり、気持ちも引き締まります。

一人の医師の力によって
地域でできる医療の幅が広がる

神栖市は、私が高校生の頃に比べると街がにぎやかになり、暮らしやすくなりました。高速道路を使えば東京へのアクセスも良いですし、海が近いので気軽にマリンレジャーを楽しめる。住む場所としても魅力があります。
地元に帰ることをネガティブに捉える人もいるかもしれませんが、それでもやはり帰ってくるとほっとする場所です。また、自分の両親や知り合いにきちんとした医療を受けてほしいという気持ちは誰にでもあるのではないでしょうか。そうした大切な人たちの存在を思うとき、医師であれば地元に貢献することができます。医師が一人増えるだけで、その地域でできる医療の幅は大きく広がるからです。例えば総合診療で幅広い疾患を診てきた医師でも、一つの専門分野を極めた医師でも、どんな経験を積んできたとしても、ここではその経験が生かせます。それが医師としての自信ややりがいになるのです。
神栖市には「地域に貢献したい」という志を持った先生たちがたくさん働いています。若い世代の医師が増えれば、地域全体がどんどん元気になっていくはずです。ぜひ、一緒に盛り上げていきましょう。

神栖済生会病院の若手医師たち

取材日:2021年7月15日
神栖済生会病院の詳細はこちら

ページトップヘ